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布団を着たまま電気を消しに行ったり、トイレに行ける。余震が来たらそのまま逃げられる。「着る布団」を開発したのは、防災グッズメーカーではなく、文具メーカーだ。発案したキングジム商品企画部の鈴木信雄さん(44)は「3・11が開発のきっかけになりました。見た目ではなく、実用性重視です」と話す。自身も宮城県多賀城市にある妻の実家が被災したという。文具メーカーならではの発想で防災グッズを開発したいという思いがあった。
東日本大震災が起きた2011年3月11日、交通機関がまひした首都圏の帰宅困難者は515万人(内閣府推計)に及んだ。勤め先で一夜を明かすことを余儀なくされた多くの人からは「寝られる場所がなかった」「床は硬くて冷たくて眠れない」などという声が上がった。「着る布団」は160センチ×60センチのフリーサイズで、手動ポンプでふくらませるエアーマット付き。一緒にA4サイズの箱に収め、書類などとともにオフィスの棚に保管できる。
東京都は昨年4月、帰宅困難者対策条例を施行。災害時には、交通の混乱を避けるために施設の安全を確認した上で従業員を事業所内にとどまらせることを各企業への努力義務とした。新商品は当初、新条例を受けての企業向けの需要を狙ったものだった。
ところが、問い合わせは企業だけでなく個人からも殺到。同社広報部は「予想外の反応。広島の土砂災害で防災意識が高まったためではないか」と話している。広島市の土砂災害で、避難所での生活が長期化し、必要性が生じれば、寄付することも検討しているという。(甲斐 毅彦)